37.5%

今日で僕のMBA生活の37.5%が終了した。今までの学びを振り返ってみたい。元々MBAに対する期待は高くなかったが、いまの所結構エンジョイしているというのが正直なところだ。
-プロダクト・サービスを作る力
今までの自分を振り返ると、コンサルとスタートアップ経営という結構ふわっとしたものが多い。パワポとかエクセルはいじれるのだが、実際のプロダクト・サービスに対する理解が全然足りない。なので、MBAというよりもMITにきて、エンジニアと仲良くなり、世界を変えるプロダクトをつくろうと思ってボストンにきた。まだまだ発展途上だが、ロケーションデータに基づいたクーポンプッシュシステムがそろそろ中国でローンチされるし、テレビの効果測定デバイスをいま作っていたり、世界最先端の3Dプリンターを作るチームのサポートしているなかで、確実にスキルセットが変わってきていると思う
-ソリューションスペースの拡張
自分のキャリアに対して、まぁまぁ真剣に考える方だが、そのソリューションスペースがこんなに拡張されるとは思っていなかった。新しくいろんなオプションに接する機会が出来たし、世界は自分が考えていたものより大分多様で大きいことがよくわかった。この夏はあるリアルタイムビッディングの会社でプロダクトマネジャーとしてインターンすることになりそうなのだが、プロダクトマネジャーという職種はアメリカに来るまで知らなかったし、この会社も勿論聞いたことも無かった。これも通常の仕事から離れるメリットの一つだろう
-ネットワークの多様化
アジアで新しい友だちができても、大体Facebookで共通の友達が数人いるケースが多い。しかしアメリカに来てから暫くは全く共通の友達がいない友人が大量に増えた。彼らは地理的にも、業界的にも、僕がいままで生活してきた世界と違うところで活躍していて、その出会いから生まれるセレンディピティに感謝する場合が多々ある。特に強い理系のバックグラウンドを持つ方々と、シナジーを出しながらプロジェクトを通じて信頼関係を築けたのは良かった
-英語圏で生きていくことに対する自信
非常に低レベルの話で恐縮だが、外資コンサルを卒業し、TOEFLもそれなりの点を取っていた僕だが、最初は本当に授業についていくのが精一杯だった。教授の話には何となくついていけるのだが、クラスメートの発言は理解できないし、夕方頃になると英語で脳がパンクし上手く働かない。それがいろんなプロジェクトワークをやっているうちに、普通に英語で仕事ができ、プライベートでも結構仲良くなれたのは個人的に素直に嬉しい。恐らく最近の話している言語は、8割英語、1割日本語、1割中国語くらいではないか。アジアの外資系で働いていたら、ここまでのレベルアップは無かっただろう
どんなことでも大体ラーニングカーブは低減していく。果たして二年目でどのような学びがあるのか。

i-teams

今学期からi-teamsという授業をとっている。MITの各学部から代表的なラボ(ノーベル賞が数人いるレベル)を呼び寄せて、最先端のテクノロジーをプレゼンさせ、MBA等のビジネス系の学生とチームを作りそれを市場に送り出すというものだ。ザ・MIT的な授業だ。
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MITは今では有用なアプリケーションは多数世に送り出す大学として知られているが、昔は基礎研究に勤しんでいたらしい。しかし70年台にベトナム戦争が泥沼化し、米国財政が厳しくなったところで、米国は大学の予算をカットする代わりに、発明した特許は大学に帰属するように制度を変更した。その結果、各大学は実用向けの研究が進み、DARPA等の公的機関や各業界の民間企業とのコラボも進んだ。
MITはその中でも成功している方で、年間予算2000億円の内、約10%が特許のライセンスフィーとのこと。因みに、1%の特許が99%のライセンスフィーを生み出している。もちろん、優秀な教授と学生がその源泉なわけだが、MITの教授は2割の時間を自分の好きなことにつかっていいし、サバティカルも結構取れる。テニュア・トラックを完了するまでの52%の時間しかMITの研究に使っていないらしい。特許が取れたら教授が発明者として登記され、金銭的にも恵まれる。
アジアの大学がここまでのエコシステムを作るには、まだまだ時間がかかるだろう。

Military leadership

MBAに来て驚いたことの一つは軍人出身の人が多いということ。社費派遣(?)の現役軍人もいるし、退役軍人も多い。米軍以外の退役軍人も含めると10-15%は占めているのではないだろうか。そんな彼らからリーダーシップを学ぶという主旨の授業を受けてみた。若手の軍人中心に、ビン・ラディンの襲撃作戦に参加したキャリア30年のベテランも講師として招かれていた。
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思ったことを幾つか
-以前の短い軍事訓練の経験や映画等で、軍隊といえば命令と服従の関係しかないのだと思っていた。では最近はService to CountryからService to people who serviceに変わってきているらしい。戦場がどんどん複雑化しているし、ハイテク化も進んでいるのが背景みたいだが、これは結構軍隊の既存組織ストラクチャーに対する挑戦な気がする。意思疎通の経路を聞いていると、陸海空の区分けが無意味に感じるし、階層を飛び越えて結構コミュニケーションも取っているみたいだ
-一般的な国は自国の領土内で地域別に軍隊を小分けにしているようだが、アメリカは全世界を分けて軍区にしている。例えばアジアの大体はUSPACOMという軍隊の管轄にあるらしい。流石世界最強であるアメリカ的な発想だ。有事になった場合は、まず管轄エリアの軍隊が指揮をとってグローバルのリソースを持ってくるらしい
-どっかのドキュメンタリーで、ウォルマートの前で低所得者向けに、学費免除と引き換えに参軍を進めていたシーンを見たことがあったが、実際のところ軍人のミドルクラスの比率は、米国国民のそれよりも高いらしい。しかも人種的にも、全体の内訳比とほぼ同じであるように調整されているとのこと。とはいえ、兵種によっては人種のばらつきは結構あるらしい
-日本とか中国で一般的にエリートと言われる人間が軍隊に行くケースは非常にレアだが、アメリカではアイビー・リーグと同格でウエスト・ポイントが検討されている。ひとつは退役後のエグジット先が豊富だからというのが理由に有ると思う。FORTUNE500のCEOの出身校を見れば一目瞭然だ。もう一つの理由は、伝統的に軍人を排出する中流家庭が多く、周りのコミュニティもそれをサポートしているからなのでは
-現代の軍隊の主な任務に戦闘以外の事柄が多く含まれている。例えば、イラクで学校をつくる、病院をつくるとか。軍隊の教育も組織も戦闘の為に設計されているので、能力が追いついていない気がした。22歳の士官に学校のカリキュラムとか作らせるのは無理がある。他の民間団体とのコミュニケーションも必要だし、内部でも横の繋がりでベスト・プラクティスの共有が重要だと感じた

Peking Univ at MIT

昼に北京大学の訪問チームとのランチセッションがあったので参加してきた。どうせ税金の無駄使いに近い観光視察だと思いきや、若手の教授が学生を連れて、結構本気でMITのイノベーティブなカリキュラムを学ぼうとしていた。
MITには学部横断型の授業が多数あるが、ある北京大学の女性教授が昨年それにビジットした際に感銘を受け、今年似たフォーマットで北京大学で新しいクラスを開設したらしい。初回だったのであまり上手くいかず、今日セッションに参加したMIT側の学生からフィードバックを聞き熱心にメモを取っていた。
中国の大学とMITの違いを比較し、イノベーションの創出について多くの議論があったが、印象に残ったポイントを書き留めておきたい
-MITでは教授が授業に対するコミットが非常に高い。カリキュラム(チームワーク、宿題等)は全部オリジナルだし、学生やTAのフィードバックを真摯に受け入れて改善を図っている。東工大もそうだったが、中国の大学では教授はどれだけ論文を発表できたかで評価される傾向がつよい
-東工大でもそうだったが、学部間の交流が殆どない。ある北京大学の教授は、この10年で仲良くなった他学部の教授は二人しかいないと言っていた。それとは対照的に、MITでは学部横断型のクラスが多数あり、その他イベント、パーティが山のようにある
-”Mens et Manus”というのがMITのmottoなのだが、工学系の学部では実社会に応用できてなんぼというスタンスで研究に望んでいる。授業の課題も実社会に近いものが多いし、ゲストスピーカーも良くクラスに登場する。ベンチャーを始める教授も多数おり、実業界との交流が非常に多い。一方で北京大学を始めとするアジアの大学は、まだ象牙の塔に閉じ困っている印象
学部生の頃は、世界大学ランキングを見る度にアメリカの大学を依怙贔屓していると思っていたが、こっちに来てみると本当の強さがだんだんわかってきた。学ぶことはまだまだ多い。

SENSEable City

MITにあるSENSEable City Labの発表会に参加した。
http://senseable.mit.edu/
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世界におけるセンサーが増えていくので、それを分析しビジュアライズすることで、何かしらの価値を提供するというコンセプト。数年前のネット広告と一緒だが、ある程度データが溜まってくると、標準化できるフォーマットが出現し、それを売買できるプラットフォームができてもおかしくない。ただし広告と異なり、まだキラーアプリケーションがないことと、公的機関が持っているデータが多いことが挙げられる。
シンガポールを今その最先端に有るらしく、研究者向けのどんどんデータを公開しているので、MITを始め世界中の研究者がシンガポールで実験的な試みを行っている。
個人単位でデータを販売するもの難しいし、活用するのも難易度が高そうなので、まずはビジネス向けのソリューションから盛り上がるのではないか。エネルギーは直接的に金銭的なインパクトが出るので、やりやすいかも。

BCF

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前職の会社の採用イベントサポートでボストンキャリアフォーラム(BCF)デビューを果たす。所謂リクルートスーツに身を包んだ企業戦士の卵が履歴書を片手に会場をうろうろしている。言われなければ、幕張メッセの就活イベントに来たような錯覚がする。日本と13時間も時差が有るボストンで、良くぞここまで日本的な場を創りだしたものだ。
グローバル企業の支社で、わざわざMBAのスクールに採用しにくるのは東京くらいだ。勿論中国やインドがボストンキャリアフォーラムに似たイベントを開催しているという話は聞いたことがない。それだけ日本の新卒と中途の採用マーケットはユニークということだ。
折角来たので、予約なしにWalk-inで色々履歴書を出してみる。マニュアル的に一切受け付けていない会社もあるし、結構偉そうな人が出てきて名刺交換するケースもある。会社の雰囲気をかいま見える瞬間だ。中にはこれを機会に、ブースを回って本業の営業する会社までいた。

Another party school in Boston

昨日ケネディスクールで開催されたHarvard China Nightというイベントに参加した。隣に座っていた中国国費派遣の留学生と雑談。
中国には共産党幹部の育成の為に党学校(パーティスクール)というシステムが、彼に言わせるとケネディスクールが第二の党学校になっているそうだ。15年前くらいから、ハーバード大は戦略的に副部長級以上(日本的には副次官?)かつ将来出世しそうな共産党幹部をケネディスクールにフェローとして招待しているとのこと。現在では副総理クラスでも、ケネディスクールの卒業生が数多くいるらしい。ちなみに、学費は中国政府が出しているらしい。
昨日基調講演したのは、日本のDBJに相当する国家開発銀行の元総裁。98年にハーバード大でPhDを取り、いまケネディスクールのフェローである。その他にも中国版SECのNo.2など、中国国内ではめったに会えないようなメンツが揃っていた。
恐るべしハーバードパワー。さて、この投資が今後の米中関係にどう影響するのか。

American dentist

平和な週末。自分で作ったカレーを食べていたら、口内に違和感が。
「ん?やたらと硬い骨があるな」
吐き出してみたら、なんと小学生の時に詰めた銀歯ではないか。
条件反射的にこれは渡米以来最大の危機と察し、グーグル先生に知恵を借りることに。
-「2本治すのに20万かかった」
-「奥さんがアメリカの生活に慣れず日本に帰りたいと言い出したことよりも危機的」
などなど気が滅入るようなブログを多数発見
強制的に加入させられた保険を調べてみても、勿論デンタルは対象外。ダメ元で保険会社に電話しても、今から保険に加入した場合、発効は来年の1月とのこと。覚悟を決めて、銀行口座の残高を確認し、MITの病院に直接向かう。通常なら予約に1ヶ月くらいかかるところを、イマージェンシーということで、なんとか二日後に予約を入れてもらった。保険があるかどうか、どうやって支払うのかをしつこく3回くらい確認される。ひょっとしたら日本に帰って治療したほうが安いのではないか。。。
それで今日実際に歯医者さんに行ったわけだが、合計200ドルちょっとでなんとか済んだ。結構良心的な先生で、最も安そうなオプションを選んでくれた上に、学割で10%引きとなった。来年はデンタル保険に加入しよう。
ちなみに後でアメリカ人に聞いたら、お金がない普通のアメリカ人は、こういう
Dentemp Temporary Cavity Filling Mix – 1 App
キットを買って自分で何とかするらしい。恐るべしアメリカの医療制度。

Cost of living in US

アメリカに来てから良く日本は物価が高くて大変でしょと聞かれる。まだJapan as No.1であった時代の残像が残っているようだが、実際の所アメリカの物価の高さに驚いているのはこっちのほうだ。
勿論郊外とかに行けばWalmartがあり、結構安くものが手に入るのかもしれないが、
http://livability.com/top-100-best-places-to-live#/palo-alto/ca
このリンク先にあるような町の物価は異常に高い。
例えば先週お尋ねしたPalo Altoでは平均世帯年収が1000万円を軽く超えていて、グーグルにいる社員でも皆お金がないと嘆いているらしい。とすると私のような学生はどうやって生活をしていくのか。ティッシュや洗剤等の日用品は少なくとも日本の1.5倍はすると思う。
この動画が示している通り、米国における富は非常に不均衡な状態にある。
Wealth Inequality In USA or Rich vs Poor In America
CEOがそのような高収入を得るのがフェアどうかという議論をさておき、約3割のアメリカ人の収入が、中国人の平均収入より低いのはちょっと異常だと思う。彼らはどうやって暮らしているのだろうか。
日本より体感的に安いのは、オレンジ・ジュース。飲み過ぎでお腹を壊さないように気をつけないと。

American centric MBA

MITスローンは米国以外のパスポートを保持している学生が約4割いる。この比率はTop Schoolの中では、最も高いみたいだが、実際アメリカですでにかなりの期間を過ごしている人が約2割いる。ほんとうの意味で、アメリカにおける外人比率はおよそ15%程度だろう。
欧州のMBAと比べると、米国MBAは極めて米国中心的だと思う。クラスで使ったケースを振り返っても、今のところすべて米国企業のケース。授業の内容も、米国で活躍できるリーダーを育てることに焦点をおいているように感じる。
学生の8割ちょっとが、アメリカで仕事を探そうとしているのだから、それはそれでいいのかもしれない。でも、アメリカのエリートが海外に行きたがらないことに加えて、外国人向けのH1ビザの上限が6万人に固定されていることを考えると、移民国家と言われるアメリカも随分変わったとと思う。
このような状況の中、外国人学生とアメリカ人学生の間にある溝を埋めることは容易くない。勿論学校では仲良くしているし、課外活動でもお互い協力するが、本当の意味でプライベートで仲良くなるケースはまれなのではないか。アメリカ人のクラスメートに聞いてみると、アメリカ人でも結局の所普段の付き合いは近いエスニックグループに留まっているみたいだ。本当に親友と言える人間が自分と違うエスニックグループから来ていることは珍しいとのこと。
それでも国として世界一の力を今のところ誇っているし、世界中の人材がアメリカに来たがっている訳だから、他の国が如何に閉じられた社会であることを物語っているのかもしれない。