Fundraising is not fun

久しぶりにブログを再開してみた。日本語で文章を書く機会がほとんどなくなり、このままだと漢字の打ち方を忘れかねない。前回のブログ投稿以降の二年間は、基本的にMIT在学中に作ったスタートアップに没頭しているので、そこで感じたことを中心に書いていきたい。
今回は、まず殆どのスタートアップが避けて通れない道、資金調達に関して。周りの起業している仲間に、スタートアップの何が一番イヤかと聞くと、100%資金調達という答えが帰ってくる。資金調達が好きという創業者にはまだお会いしたことがない。勿論Techcrunchを見ると、毎日資金調達のアナウンスがあり、メディアも資金調達のプロセスを美化したがるのだが、現実的には精神的に相当タフなプロセスだ。
まずはこの資金調達が如何に難しいかということを公開データに基いて示したい。米国のトップアクセラレータはY combinatorとTechstarsだ。ちなみにYCは以前このブログでインタビューに如何に落ちたというブログを書いており、Techstarsに関しては受かったあとにすぐ辞退したのでものすごい怒られた。YCに関しては、”Out of 1200+ active YC companies today, there are only about 100 with more than 50 employees and only 60 with more than 100 employees.”。Techstarsに関しては、こちらの記事によるとTechstarsに応募したスタートアップが創業4年後にSeries Aに到達する確率に至っては、応募10,000社に対して25社(0.25%)。Mattermarkのデータによると、シリーズBまで生存しているスタートアップは、シードからカウントして約2割弱。
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まぁ、要約すると資金調達は相当難しいという話だ。MITの合格率は約8%なので、単純計算で見るとスタートアップの資金調達を成功させるほうが圧倒的に難しい。起業した段階からカウントすると恐らく0.1%-0.05%なのではないだろうか。
ちなみに弊社は今のところ、米国の投資家の中心に$10Mくらい調達していて、夏にシリーズBをクロージング予定である。
次はなぜこのプロセスが精神的にダメージを与えるのかを深掘りしていきたい。まずはVCサイドから見た時に、彼らは100社程度に会って、恐らく数社出資するかしないかというところだろう。これが意味するところは、よっぽどすごい有名スタートアップでない限り、最初に10社VCを回っても、恐らくすべて門前払いされるということだ。しかも、VCは後でリードインベスターが確保できた際に出資する権利を保持しておきたいので、あまりディールに興味がなくても明確に”No”と言わずに時間稼ぎをするケースが多々ある。資金調達プロセスを営業プロセスに例えると、成約率が1%程度で、しかもリードのQualificationが極めて難しい、かなり難しい営業の類に入る。自分でスタートアップを始める人は大体自信過剰なので、15-20社ピッチしたところで、理想(Techcrunchの記事)と現実(0.1%の成功確率)のギャップを見て、自分を疑い始める。またVCにもよるが、結構厳しい指摘を受けるところも多い。資金調達の成功確率は、今までの企業面接や大学受験よりも遥かに低いので、そこを客観的に把握していないと、どんどん気が滅入ってしまう。
これに加えて、資金調達中のFounder/CEOは、社内社外で極めて脆弱な立場にあり、これは資金調達のプロセスが進むに連れて悪化してくる。砂漠でガソリンが切れそうなジープを運転しながら、どこにあるかわからないガソリンスタンドを探す感覚にているかもしれない。資金調達のプロセスが長引くに連れて、キャッシュポジションがだんだん少なくなってくる。そして資金調達プロセスは確実に予定よりも長引くのだ。お金がなくなってくると、取締役会でのレバレッジが効かなくなり、普段では合意できない条件も飲み込まないといけないし、社内的なコミュニケーションにも気をつけないといけなくなる。こればかりは他のメンバーにデリゲーションするわけにも行かない。資金調達のプロセスは極めて不透明でかつ不確定性に満ちているので、キャッシュポジションが少なくなる中、明確なソリューションがないのはなかなか辛い。そのプレッシャーに耐えながら、超ポジティブに全身全霊をかけて、毎日より多くの投資家にピッチする必要があるのだ。
では、資金調達に近道はあるのか。Mark Susterのブログに色々とコツが書いてあるのだが、個人的にはより多くの投資家にピッチするしか解はないと思う。
How Many Investors Should You Talk to in a VC Fund Raise? And How Do You Prioritize?どこかで氷山で遭難した人のインタビューを見たが、いまの環境を一種のゲームだと思って、250メートルの先の木までたどり着くことのみに集中して前進し、辿り着いたたらまた新しい目標をセットする、これを繰り返すことで助かった。前に進んでも生きる保証はないが、前に進まないと必ず死ぬ。資金調達の成功確率は、起業のタイミング、マーケットの状況やビジネスのファンダメンタルズに依る部分が多いので、小手先のテクニックより、とにかく可能性のある投資家にピッチしまくるのがいいのではないかと考えている。
勿論全力でピッチしている間は会社の経営が疎かになってしまうので、その対策は事前に打っておかないといけない。現実的にはキャッシュがショートする9ヶ月前からは少なくとも資金調達を始める必要がある。各調達ラウンドの目標Runwayが18ヶ月だとすると、実に半分程度の時間は資金調達に費やしていることになる。Later stageに入ってくると、安定した売上が立ってくるので、より資金調達の選択肢が増えるが、シリーズBあたりまではVCしか選択肢はないのではないだろうか。もちろんICOに走る強者も現れてきているが、これはまた別の機会に語りたいと思う

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