Netflix

僕はかれこれ7,8年くらいテレビを殆ど見ない生活を送っている。殆ど困らないし、たまに友人の家でテレビを見ても、まぁテレビが無くてもいいかなと思う。唯一困るのはサッカーの試合とかで、ラジオで聞くには限界がある。
アメリカに来てから結構見ているのがNetflix。映画とかテレビドラマとかがネットで見れる。Netflixが凄いのは自分たちでコンテンツまで作っていることだ。
House of Cardsは近年のドラマで最も完成度が高いと思ったし、ロムニーの選挙に密着したMITTもなかなかの出来だ。何故Netflixがここまで質の高いコンテンツを作れるのか。
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ケーブルテレビ大手HBOは年間約10億ドルを投入し自社コンテンツを開発している。それに比べて、Netflixは2014年度の予算で7億ドル程度。お金の出処は視聴者数なのだが、実は2013年の1QですでにNetflixはHBOを視聴者数で超えている。最新の数字でアメリカ国内の視聴者数だと、Netflixが3300万人で、HBOは3200万人。伸び率でみると圧倒的にNetflixのほうが高い。
つまりトラフィック・インプレッションがある程度まで来たら、マネタイズは結構簡単で、良いコンテンツもすぐ出来てしまう。しかもネットビデオという媒体だと、テレビよりもより細かいユーザーのフィードバックが取れるので、更によりコンテンツができる可能性がある。媒体がコンテンツの質自体に影響しているのだ。テレビの媒体の性質上、残るコンテンツももちろんあるだろうが、テレビからネット・パッケージから単品買い・一方通行からインタラクティブ、このような大きなトレンドはもう誰も止められないだろう。

Bitcoin

昨年の11月くらいからビットコインを使い始め、その後MIT Bitcoin Clubも作った。先週はCircleのCEOを招いて講演会も実施。世界の秩序を根本から変える可能性があるプロトコルだと感じている。
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メインストリームのメディアを見るとまだビットコインに対する誤解が結構あるようなので、ここでちょっと説明したい
-ビットコインは投機筋によって支配されており、実用化価値がない
最も重要なのは、ビットコインは金のようにアセットとして備蓄するタイプのものではなく、トランザクション向けの通貨ということだ。もちろん今後ビットコインが普及することにより、価格の上昇もあり得るが、それよりも限りなくゼロに近いトランザクションコストのほうがはるかに魅力的。中小企業向けや国境を超えたトランザクションで大きな可能性を秘めている。通貨というよりも、トランザクションを推進する一種のプロトコルと理解したほうがよい。TCP/IPとかWWWとかそういうレベルと同じと考えている。
-ビットコインの価格の変動が激しいので、一般的な小売店舗では導入が進まない
トランザクションがメインな利用シーンということであれば、トランザクションの時間が極端に短ければ価格の変動は無視できるということだ。ビットコインの譲渡自体は現在2-3時間程度かかるが、トランザクションを開始した瞬間に小売店舗側で一般通貨に換金するプロセスを開始することが可能。クレジットカードもたいてい月締めなわけなので、特に問題無いはず。
-ビットコインはマネー・ロンダリングの温床となる可能性が高い
すべてのトランザクションはネットワーク上に記録されており、その後確認することができる。すべての取引所が実名制を導入すれば、現在の金融システムとなんらかわりはない。システム的な問題というよりも、法的制度が追い付いていないだけ。課税等も問題も同様の理解。
-ビットコインは金融業界以外では使い道がない
ビットコインは一種のプロトコルなので、現在はまだ金融向けのアプリケーションしかないが、今後はいろんな可能性を秘めているとも言われている。例えばすべてのメール送信に、0.0001コインの添付を義務化させれば、一般的な送信者は気にしないが、スパム業者にとっては価格が高過ぎるので断念せざるおえない。これもトランザクションコストがゼロだからできること。
個人的にいま最大の課題は、UI/UX的なところだと考えている。一般的なユーザーが毎回30数桁の暗号を送信して支払いするとは考えられない。NFCやQRコードと連動した形での決済アプリが生まれないと実店舗での普及は進まないだろう。あと既存の決済手段(VISA等)にとっては2-3%の手続料を取り損なうことになるので、規制面で攻めてくるはず。

i-teams

今学期からi-teamsという授業をとっている。MITの各学部から代表的なラボ(ノーベル賞が数人いるレベル)を呼び寄せて、最先端のテクノロジーをプレゼンさせ、MBA等のビジネス系の学生とチームを作りそれを市場に送り出すというものだ。ザ・MIT的な授業だ。
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MITは今では有用なアプリケーションは多数世に送り出す大学として知られているが、昔は基礎研究に勤しんでいたらしい。しかし70年台にベトナム戦争が泥沼化し、米国財政が厳しくなったところで、米国は大学の予算をカットする代わりに、発明した特許は大学に帰属するように制度を変更した。その結果、各大学は実用向けの研究が進み、DARPA等の公的機関や各業界の民間企業とのコラボも進んだ。
MITはその中でも成功している方で、年間予算2000億円の内、約10%が特許のライセンスフィーとのこと。因みに、1%の特許が99%のライセンスフィーを生み出している。もちろん、優秀な教授と学生がその源泉なわけだが、MITの教授は2割の時間を自分の好きなことにつかっていいし、サバティカルも結構取れる。テニュア・トラックを完了するまでの52%の時間しかMITの研究に使っていないらしい。特許が取れたら教授が発明者として登記され、金銭的にも恵まれる。
アジアの大学がここまでのエコシステムを作るには、まだまだ時間がかかるだろう。